「瑕疵」から「契約不適合責任」へ
ようやく、新型コロナ感染症のニュースもピークを過ぎて、皆さんが日常生活を徐々に取り戻そうとしている今日この頃ですが皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか?これから梅雨のシーズンになり、どんよりとした天気が続きますが、元気出していきましょうね。
さて、この度、不動産売買に係る重要事項説明書・契約書に関係のある民法が改正されましたね。
令和2年4月に施行された民法(債権法)改正によって、売買における売主の瑕疵担保責任の規定が大幅に見直されましたが、具体的にどのように変わったのでしょうか?
民法改正により、「瑕疵(かし)」という文言は使われなくなり、「契約の内容に適合しないもの」という文言に改められました。また、契約(債務不履行)責任と整理された結果、契約不適合責任の規定が特定物・不特定物を問わず適用され、契約不適合の対象は原始的瑕疵にかぎられないこととなりました。
加えて、買主のとり得る手段として、これまでの解除、損害賠償に加え、追完請求、代金減額請求も認められました。さらに、損害賠償請求には、売主の帰責性が必要になりました。
要は、「隠れたる瑕疵」(買主が頑張っても見つけられなかった欠陥)に限らず、売主が告知内容との相違があれば、契約したものではないということで「契約不適合物件」と言う事で売主に責任追及できると言う事です。
これにより売主の責任は残念ながら重くなりますが、一方で、買主にとっては中古住宅をより安心して買いやすくなるという内容となっています。
そのため、2020年4月以降に不動産を売る方は、契約不適合責任についてしっかりと理解することが重要ですが実際の実用性はどうなんでしょうね。
ホームインスペクションの導入もそうなのですが、不動産と言う事だけで、売主の縛りが異常に厳しくないですか?宅建業者が売る「新築マンション」「新築一戸建て」ならいざ知らず、一般の人が売る「中古住宅」にここまで責任を負わせるというのは如何なものかと思います。
システムだけ世界基準に合わせる事のゆがみ
例えば「メルカリ」に出品する全商品に一定期間の品質保証をしなさいと言われれば、誰も出品しなくなりますよね。使用していて、使わなくなったから売却するのです。
ノークレームノーリターンがダメと言われれば中古品はクレームだらけになってしまいますよ。
ここまで責任を訴求するような厳しい民法に替えられるのであれば、もう個人の売却主はほぼ「契約不適合責任免責」になるのではないでしょうか?あいまいな責任ではなく、よりはっきりとした明白な責任訴求を目指しているとのことですが、これによってこの法律のデメリットを受けるのは宅建業の中古転売業者です。
「こんなに責任を押し付けられるのであれば、その分前もって価格に乗せておこう。」作戦にでますよね(笑)
なんでも世界基準に合わせるのは良いですが、何でもかんでも欧米諸国の真似をするのも考えものですよ。
日本には日本の良いところがあり、それに即して徐々に民法も改正していけばいいのです。
別に訴訟社会でも銃社会でもない国家でシステムだけ諸外国から輸入するとゆがみが生じると思います。
不動産が流通しないと景気も良くならないのに、どうも国は逆の事ばかりして、日本を不景気に導いてるんじゃないかと疑うばかりです。