耐震偽装事件を斬る①
皆様は覚えてるでしょうか?2005年に起こった「耐震強度偽装事件」。
簡単にご説明しますと、
『不動産業者が分譲マンションを建設する際に、依頼した一級建築士事務所が事業主のコスト削減のため構造計算をごまかして設計し、建築し民間人に売却していた。』
と言うものです。
たしかに、これはやってはいけないことです。
一級建築士事務所である以上、公正な立場で安全を確保しながら設計し、ゼネコンに指示・監督しなければなりません。
しかし。しかしですよ。
何も知らずに購入し、金銭的被害に遭われた方にとっては非常に腹立たしい話ですし、お叱りの言葉も頂くかもしれませんが誤解を恐れずに言うと「ただそれだけの事」です。
ここで僕がお話したいことは民事賠償のお話をしたいわけではございません。僕は報道・政府のあり方について非常に憤りを感じております。
皆様この事件で印象に残っているのはなんですか?
当時のニュースを振り返ると、「耐震偽装」という言葉が流行語大賞にノミネートされるまで報道機関が取り上げております。なぜ、ここまでこのニュースが取り上げられたか?僕の推測からすると
- 「姉歯」
- 「ヒューザー」
- 「かつら」
- 「社長が偉そう」
このキーワードが話題性があり、視聴率がとれそうだからです。
- 「姉歯」という苗字が珍しかったから。
- 「ヒューザー」という社名も解りやすいですし、社長も強面で悪人面してて不動産屋っぽくわかりやすかったから。
- 姉歯さんが「かつら」で、あの映像ギャップが面白かったから。
- 社長が会見で謝らず、開き直っているように見えたから。
僕に言わせると、民間人がニュースやワイドショーにどんどん誘導されていき、物事の本質が見えなくなってしまったし、それを良いことに、公的機関もこのバッシングにうまいこと箕がくれしたなあという印象です。
マスコミが煽りに煽り、役所も助かりましたね~。責任転嫁できて。
本来、分譲マンション事業を行うときは
- •事業主が土地を確保して、そこに建てる建物の構想を練る。
↓ - 設計事務所に依頼し、ボリュームプラン(その土地に対してどの位の戸数の建物が入るか)を提出してもらう。
↓ - 建物の詳細プラン(間取り・仕様)を決定
↓ - 構造計算・本設計
↓ - ゼネコン見積もり
↓ - 設計事務所、ゼネコン、事業主にてVE(バリューエンジニアリング)の上、原価確定。
↓ - 役所に開発申請・建築確認申請の提出
↓ - 役所が事前協議・開発審査・建築審査をし、加筆・訂正を経てOKがでれば建築許可を下ろす
↓ - 建築開始
細かな作業はまだ色々ありますが、大雑把で言うとこんな感じです。
建物というのは民間が勝手に建てたい・建てますで建築できるものではありません。
必ず、役所にある「建築審査課」や「建築指導課」の綿密な構造チェックやコンプライアンスチェックを通過してからでないと建築することはできません。
綿密な。
綿密な・・・
彼らは公務員としてそれが役割ですから。
民間人を危険にさらさないための、最後の防波堤は役所です。設計事務所ではありません。民間設計をチェックし、是正させるのが仕事のはずですが・・・
まだ、続きがありますが今回はこの辺で。