親族間売買のお話
関西でも不動産仲介業は繁忙期ですね。都市圏の不動産の仲介営業マンは目が回るほど忙しい毎日を送っているのではないでしょうか?体調崩されない程度に頑張って数字を上げて下さいね。
最近、昔の仕事仲間から電話がありまして、親子間売買の住宅ローンについての質問を受けましたので、今回はそれについて、簡単に触れていきたいと思います。
不動産仲介業をしていると、稀に「親から不動産を購入したい」というご相談を受けます。現金で購入するなら何ら問題は無いのですが、ほとんどの場合「住宅ローン」を組んで購入を考えています。
仲介営業マンは親子間売買と聞くと「あー。。住宅ローンは厳しいなー。。。」と思われる方が多いと思います。確かに親子間売買で住宅ローンを付けることは非常に困難です。大手都市銀行などは借手の属性の如何を問わず、最初から親子間売買というだけで審査対象にすらなりません。
ではなぜ、親子間売買の住宅ローンは厳しいのでしょうか?理由はいくつかあります。
まず大前提のお話しなんですが、金融機関の考え方として、親の不動産は通常、子供に所有権を移転する際は「相続」か「贈与」が普通です。住宅ローンを組むという事は子供が借金をして親にお金を渡し、同居もしくは親が出ていって新しい家を購入する事ですね。いずれにしても「自ら住む」というのが条件です。
であれば別に親の名義のまま住ませてもらって、相続が発生したときに自然な流れで所有権移転すればいいじゃないか?というのが貸手(金融機関)の考え方なのです。
一方では借手の考えも当然あるわけです。主な例として
- 「親が昔組んだ住宅ローンの金利が高いので売買して自分が住宅ローンを組みなおして金利を下げたい」
- 「親の組んだ住宅ローンは残り10年だが、返済が苦しくなったので、売買して自分が35年ローンを組んで返済を半分以下に抑えたい」
- 「親が返済能力が無くなり実質は自分がローンを負担しているのでその分売買で所有権を移して住宅ローンを組み替えたい」
この3つが主な貸手側の理由じゃないでしょうか?
ただ、金融機関は上記の理由を善意でやる方ばかりでない。理由の根拠がなく目的通りに実行資金を使わなくても解らない。という事になるのです。また、ローン支払いが厳しく支払い延長を組み替えによってやるという事は実質、金融機関にとっては「リスケジュール」に自分の銀行が利用され、コンプライアンス上の問題が出てくるという事で非常に毛嫌いします。
悪意を持って考えると確かにそうなりますよね。親と子供が裏で手を組んでいて売買金額を2000万円に設定して2000万円の融資を受け、元の抵当権を1500万円で抹消したとするとこの親子には現金500万円が残り、さらに金利低下と支払期間延長で月々の支払いも安くなるという事になります。
別に担保評価さえしっかりしていれば、何の問題も無いように思えますが、金融機関に専門的な不動産の評価価値を見定める自信が無いので、売買金額が第三者の値付けでない限り、相対の売買金額に誰も責任が持てないのです。
後は住宅ローンの大義です。
住宅ローンで貸し出す融資は100%自ら居住する住宅に使わなければなりません。
前述のように売主と買主が結託できる状況ではそれを100%証明する手立てがないというのも、金融機関が嫌がる大きな原因の一つでもあるのです。
とはいえ、全く可能性が無いわけでもないですよ。街の信用金庫さんとかに相談すればケースによっては借り入れできることもありますし、フラット35も条件・窓口によっては承認が出る場合もあるようです。
まあ、その際には対象不動産の重要事項説明書と契約書の提出は求められると思いますので、お気軽に私にお声がけ下さいね(笑)
今回は親族間売買のお話でした。